家族の風景。
ハナレグミの”家族の風景”というすごく良い曲があります。
とある家族の風景を、そっとすくいとったこの眼差しがすばらしいと思います。
住宅の設計にもこの感性が不可欠なんじゃないかと思っています。
ハナレグミの”家族の風景”というすごく良い曲があります。
とある家族の風景を、そっとすくいとったこの眼差しがすばらしいと思います。
住宅の設計にもこの感性が不可欠なんじゃないかと思っています。
木の家を考えるときに伝統的な建物の構造を参考にします。一般的なイメージとしては伝統的な木造住宅は大きな梁とか太い柱といったものかと思いますが、京都の町家に関しては梁など非常に細いです。
柱も3.5寸(10.5cm)程度です。
ただ、木材は比較的硬くてしっかりはしています。
2階床面は渡りアゴなどの組床でなく、蟻落としで天端がそろっています。その梁の上に根太なしで直接3センチほどの厚板が載っており(実(サネ)はなく、ほとんど釘止めもしていない)、その上が畳敷きとなっています。
火打ち梁は屋根構面には隅に入っている場合がありますが、2階床構面には入っていません。
床構面は水平方向の変形に対しては非常に柔らかいものと思われます。
差し鴨居もありません。
火袋という大きな吹き抜けがトオリニワの上にあり、こちらは土間から2階の屋根地まで空間になっており変形を拘束する部材はほとんどありません。
このような構造なので、地震、風圧などの水平力がかかると非常に揺れます。
家の前を大きな車両が通るだけで震度1くらいの揺れ方をします。
ちょっとした揺れは、地震か、車か、風かわからないくらいの状態です(厳密に言えばなれてくるとわかりますが)。
この様な建物に筋交いや構造用合板を貼って補強を行うと、ちょっとした揺れには強くなるかもしれませんが、強い地震の際、仕口が壊れたり、補強していない場所がつぶれたりすると、感覚的に思います。
この構造に対する感覚が京町家の耐震補強にとっては大事だと思います。

写真は去年まで賃借して住んでいた京町家で、築80年くらいの建物です。
この家に生活して、木造の家の意味について色々考えさせられました。
一番強く感じたのが、維持管理です。
畳と襖と障子を入れ替えるだけで、新しい生活空間が誕生します。そして、畳屋さん、表具屋さん、建具屋さんが町のあちこちに居ます。
もちろん、大工さん、左官屋さん、屋根屋さん等々のあらゆる職人さんが各町内おられるような感じです。
このフレキシブルさは、建てた家を何世代にも渡って長くつかっていく為の知恵だと思います。すなわち生産の原理ではなく、使用者の原理に立って作られています。
現在の木造住宅は耐久消費財となっており、30年ほどすれば解体処分してしまうことが前提となっている様に思われます。
30年で解体する建物と何世代にも渡り使い続ける建物の大きな違いは、建物そのものの資産的価値ではないかと思います。
資産的価値を認めるためには、文化的価値が重要になってくると思います。また、文化的価値を高めるには知識、教育が不可欠だと思います。
以前新聞でこのような記事を読みました。
このような地道な活動を通じて文化的価値が広がっていくのではないかと思いました。
税制や耐震、防災等の法制の問題が多々あり、既存の古い建物をそのまま使いつづけることの困難さもあります。
こちらは、いろいろな先生方、設計者が日々研究を重ねられており、構造計算や防火性能などを科学的に解析されており、これから実践に向けて広がっていけばいいと思います。
表題の図書を見つけました。
伝統的な木組みの家をあえて「渡り腮(あご)構法」と名づけ、「構造システム」として伝統的な木組みの構法を解析しています。
”伝統構法”を理論と実証にて構造検討し、現行の法律にのっとって建てられるように研究されています。
推薦のことばに
「この「伝統構法」という言葉には、百人百様の解釈があり、この言葉にこだわっていいては、不毛の議論をよぶだけである。それよりも、この渡り腮構法は、日本の職人たちによって歴史的に培われてきた「木の使い方」を、実際にこれから建てられる住宅の構法というかたちで具体化し、そのことによって、日本の伝統文化のひとつのかたちを現代によみがえらせたというところに大きな意義がある。」(東京大学名誉教授/慶応義塾大学教授 坂本功先生)
とあります。
まさに、技術であり文化、芸術だと思います。このような研究によって迷走する木造在来構法に光明が差してきたような気がします。
ぜひ、こういった研究成果を実践していきたいと思います。
今朝の京都新聞に【「平成の京町家」普及へ 京の木材活用、省エネで独自基準】という記事が載っていました。
京都市産の木材を使って、省エネ住宅開発事業と連携し通風や採光に町家の工夫を取り入れ、外観も新景観政策に合わせたものにする基準づくりを目指すようです。
これは、すすめていただきたい政策ですが、是非、伝統的構法で建てやすくできるよう、現行の建築基準法を緩和していただきたく思います。
たとえば、ウナギの寝床といわれる、細長い木造住宅の間口方向の壁量は奥行き側の長い方の壁が受ける風圧で決まります。大通りに面しているところならいざ知らずう、ほとんどの建物はその方向に風をうけません。
これを見直すだけでも間口方向の壁量が減り、町家ならではの通風が確保できると思います。
現在、防災、耐震、景観について、いろいろな方々が研究をされています。時間のかかることですが、これから京都の町がどう変わっていくか楽しみです。
今、表題の講習会に週1回通っています。古い京町家など、現在の耐震方法にあわない、建物を限界耐力計算法により、耐震補強するため講習です。伝統工法による新築にも適用可能な考え方です。
この研究は京都大学防災研究所の鈴木祥之教授を委員長とした「木造軸組構法建物の耐震設計マニュアル編集委員会」によって、「伝統構法を生かす木造耐震設計マニュアル」として出版されています。
この研究に基づき伝統木造の耐震化をすすめることが目的ですが、講習会での冒頭のお話では、京町家をストックとして、資産価値を持たせる為、金融機関や不動産鑑定士などとも連携されているとのことでした。これはすごく魅力的なことで、単に学問に終わらせない、意気込みにとても共感できました。
先日、実地研修として間口2間桁行4間の厨子二階建の典型的な町家を調査しました。
柱はそこそこですが、梁や束などびっくりするくらい細いのです。しかし、明らかに、現在の木造軸組構法の対極にある構造だなあと感じました。
もともと連棟であったものをカステラの様に切ってあるので、間口方向が弱く、正面から見ると大きく左に傾いているのがわかります。
しかし、この傾いた状態で立ってられるということが、伝統構法の粘りやしなりの潜在力をあらわしているのではないかと思います。
現在の構法では、このような状態でたっていることはありえません。
この潜在的な力を生かして耐震補強をしなければならないわけです。
キーワードは柔よく剛を制す!でしょうか。